「やすらぎ」32号発刊にあたり

慈光照護の下、門信徒の皆様におかれましてはご清祥にてお過ごしのこと大慶に存じ上げます。又、日頃より当寺護寺発展の為に並々ならぬご尽力を頂いていること、重ねて御礼申し上げます。

寺報「やすらぎ」第32号を門信徒の皆様のお手元へお送りさせて頂きました。今年の1月からの諸行事の報告などを中心に掲載しております。じっくりお読みいただけると嬉しいです。

もう一年の半分が過ぎてしまったわけですが、ここまで本当に短い間に、様々なことがありました。
4月27日に若坊守の父が行年61歳という若い若い生涯を終わっていきました。孫が生まれて、これから余生を楽しく過ごすと考えておられたと思いますが、今生の縁尽きて、志し半ばで生涯を閉じられました。残された家族はまだまだ悲しみが癒えない中で、お盆を迎えようとしております。

また、義父の四十九日が無事に終わり、少し落ち着いたところで、今度は坊守の母(私の祖母)が、6月18日に行年99歳で往生の素懐を遂げました。長い長い人生、本当にご苦労された方でした。大変な時代を生き抜き、子を育て、お寺を守られたご苦労は私達には計り知れないものがあります。

こんな短い間にお二人との悲しいご縁がありました。
お釈迦様は、この世の中にある苦しみの中で、一番の苦しみは、愛するものとの別れ(愛別離苦)であると仰っておられます。今まさに悲しみの中で毎日を過ごしているわけですが、そんな悲しみの中でお二人が共通してお示し下さったことは、私が頂いているたった一度きりの人生、たったひとつの命を大切に、この人生を歩いていくんだという、力強い励ましであると頂いております。昨年生まれた娘も、6月24日でお陰様で満1歳になりました。よちよち歩きで、大変な中での生活が続いておりますが、今後も手を取り合って、共々にお育てをいただきたいと思うことでございます。

さて、時節はお盆をお迎えしようとしております。毎年のことですが、8月1日~11日まで全門信徒のお宅へ叔父や法務員さんのご協力をいただきお盆参詣に歩かせていただきます。

今の世の中は、個人が尊重されるようになり、家族一緒に仏前に手を合わせるということが段々と難しくなってきておりますが、年に一度のお盆まいりです。一度で良いですから、お仏壇、納骨堂、あるいはお墓でそれぞれが手を合わせるようお願い申し上げます。

私達はお盆という大切な仏教週間を亡き人を偲び、亡き人を通して教えていただいたことを確認するという大切な時間として頂戴しております。

なかでも、つらい別れの中で、普段なかなか気づかない、気づけないでいた命の尊さ、はかなさを教えていただきました。
それをしっかりと受け止めることが出来たならば、この一度きりの人生は素晴らしいものになっていくと思います。空しく過ぎてゆく人生を送るのは、本当にもったいない。どうか大切に歩んでくれよという亡き人の願いが込められているのが、このお盆という大切な仏教週間です。大切にいただきましょう。

 

合 掌

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