教え tell me – vol.21 年末を迎えて

 月日の経つのは早いもので、2019年もまもなく終わりを迎えます。ちょうど今頃、今年はどんな1年だったかなぁと、ゆっくり大晦日の紅白を見ながら振り返る人も少なくないのではないかと思います。

 さて12月といえばクリスマス。プレゼント交換したり、ごちそうを食べたりと楽しいことがあります。ただクリスマスにキリストの誕生を心の底から祝っている日本人がどのくらいいるのでしょうか?口ではメリークリスマス!と言いながら、24日を彼氏彼女と過ごす口実にしたり、宗教的な意味抜きでプレゼント交換をしていたりします。 そうは言ってもクリスマスがとにかくめでたい日であるという意識は日本人の中に強く根付いており、キリストをそこまでお祝いする気持ちにはなれなくても12月25日がキリストの誕生日だということは、ほとんどの日本人が知っていることです。一方で、お釈迦さまの誕生日が4月8日だということを知っている日本人がどのくらいいるのでしょうか?

 以前某テレビ番組で「イエス・キリストの誕生日であるクリスマスは盛り上がるのに、お釈迦さまの誕生日で盛り上がらないのはおかしい!」と主張していた吉本新喜劇の座長である小籔千豊さんがこのようなことを発言しておりましたので紹介させて頂きます。

「皆さん、12月25は何の日ですか?」-クリスマス。
「じゃあ、2月14日は?」-バレンタインデー。
「では、10月31日は?」-ハロウィン。
「じゃあ4月8日は何の日ですか?」会場は誰も反応できず場が静まり返ります。
 小籔さん「4月8日は、お釈迦さまの誕生日じゃっ!」と一喝!

 そしてそれに続く内容がとてもユニークで、「4月8日にクラブでパーティーをしよう!」「天上と天下を指さすポーズで踊ろう!」と言われたり、やっぱりバレンタインや恵方巻のように食べ物もあるといいから「フライドポテトと粉チーズやお塩を紙袋に入れてシャカシャカ振る『釈迦釈迦ポテト』」、『ホットケーキ(仏ーキ)』を食べて、お釈迦さまの誕生日をお祝いしよう!と話されていました。その後かなり多くの反響が見てとれたのを受けて小籔さんは、4月8日に『お釈迦さま‘S B.D. FLOWER FESTIVEL!!』と題したパーティーを開催し、多くの若者の心に仏教に触れる機会(ご縁)を作ってくださいました。
 形はどうあれ仏縁を増やす彼の行為はとても喜ばしいことだと思います。いつの日かこの積み重ねが、お釈迦さまの誕生日を国民的行事にする大きなきっかけになり、またひとりでも多くの人の心に仏教が届いてくれることになれば、僧侶としては嬉しいかぎりです。
そして私自身も小籔さんのように仏縁を広める努力を少しでも増やしていけるように念じて年末最後の言葉にかえさせて頂きます。

この記事が掲載されている寺報やすらぎ