ふじおかゆうやのガバイはなし vol.09 「先人と巨人」

安楽寺法務員 藤岡融也

 みなさんこんにちは。いよいよ夏がやってきました。北海道にきて5回目の夏、そしてお盆です。よく九州出身だから暑さには強いと思われがちですが、むしろ暑さには弱いです。毎日うなだれています。というより暑すぎませんか?毎年のことですが北海道がここまで暑くなるとは思っていませんでした。お盆参りも一苦労、裏切られた気分です。天気を調べては一喜一憂する毎日です。
 夏の暑さに嫌気がさすたびに思い出す言葉があります。「暑い、寒いと、うるさく言うな。夏は冬に感謝し、冬は夏に感謝しんしゃい。」これは漫才師の島田洋七さんが書いた『佐賀のがばいばあちゃん』に出てくる一節です。がばいばあちゃんらしい、素朴でハッと気づかされる言葉です。この他にもたくさん先人の知恵や工夫の話が出てきます。
 先人とはまさに先の人、昔の人、先祖という意味で、お盆の時期にはよく耳にする言葉だと思います。そしてこの先人という言葉を聞くたびに聞くとどうしても「巨人」という言葉を思い出してしまいます。今回のがばい話はこの「先人と巨人」について思うことを書きたいと思います。
 Google Scholar というGoogle が提供する検索サービスのトップページに「巨人の肩の上に立つ」という言葉があります。僕が初めてこの言葉を見たのは大学生の時です。パソコンで調べ物をしている時に偶々見つけました。一見すると全く意味がわかりませんが、実はこの言葉はとても奥が深い言葉であり、今の僕を支えている言葉です。
 そもそも巨人の肩の上に立つとはどういうことなのでしょうか?この言葉はただ私たちが立つことと、巨人の上に立って見た景色を比べるとその意味が分かりやすくなります。ただ地に足をつけて立つ、これは普段の私たちのことです。これはいつもの光景でしょう。では巨人の肩の上に立つ、これはどういうことかと言いますと、当然巨人の肩の上に立つわけなので高い位置から見ることができます。いつもより遥か遠くが見渡せますし、その景色は普段とは全く違います。この差を生み出しているのはまさに「巨人」です。ではこの巨人とは何を意味しているのかというと、これは「先人の知恵」という意味です。つまり巨人の肩の上に立つというのは、「先人の積み重ねた知恵の上に立ち、そこから新しい知見を開拓する」という意味です。
 私たちはなんとなしに普段の生活を送っていますが、実はそこにはたくさんの先人たちの知恵や苦労があってこそ成り立っているのです。それがあるからこそ今の生活があるのです。しかしながらそのことに私たちはなかなか気づけないでいます。このお盆の時期に少しでも「先人」を振り返ってみませんか?そうすればまた新たな発見があるかもしれませんし、この夏の暑さも少しは感じ方が変わってくるのではないでしょうか。夏真っ盛りにこの夏と、そして巨人という名の先人に感謝です。
合掌

この記事が掲載されている寺報やすらぎ