教え tell me – vol.7 師走を迎えて

月日の経つのは早いもので、2012年も残すところあと数日、今年は、ロンドンオリンピック(メダル数過去最多)やiPS細胞研究のノーベル賞受賞、つい最近では衆議院総選挙、と世の中のめまぐるしいものがあったように思われます。新聞・雑誌・テレビ等でも今年を振り返った内容のものが多く取り上げられているのではないでしょうか?
そして年末年始の過ごし方をどうしようかと決めている方も多いことでしょう。
お寺では、タタタと元気に走り出す寧々ちゃんが、ひとりひとりの顔を認識できるようになり、そろそろしゃべりだすような時期になりました。

さて、私にとって12月と言えばクリスマスでも大晦日の紅白でもなく「煤払い」が、まず忘れられない記憶のひとつにあります。私が実家におりました時、12月を迎えると、どこか心の中のスイッチに気合いを入れ、家(お寺)すべてを家族のみんなで掃除させていただくものでした。

これが子供の頃の私には、たいそうしんどいものに思えて、どうにかして早く終わらんかなあと不謹慎なことばかり考えており、そうなってくると後できれいになったかどうかをチェックしにきた父親に、「はい、やりなおーし!」と言われがっくりきたものです。

それを見ていた祖父が私に言ったのが、「煤払いするんじゃない、煤払いさせていただくんだぞ」のことばでした。子供の頃は、あまり理解できませんでしたが、よくよく考えてみると、目の前にある汚れや埃をきれいにしていくということは、ただその日その場だけをきれいにしていくのではなく、そこで生活をさせていただいている私たちひとりひとりの心をあらためて見つめていくことにつながる、と今の私は考えます。

日々の生活の中で、予想外の出来事に振り回されたりすることで、色々なことをおろそかにしがちな私たちですが、12月の行事として「煤払い」は勤めたいものです。

どこの家でも囲炉裏で火を焚いていた昔、「煤払い」は一年の煤を払い、正月を迎えるための重要な準備でした。大掃除のひとつではなく仏様を迎える大切なしきたりです。

おうちに仏壇があればまずそこからお掃除を始めてもいいですし、普段手をつけていない押入れや物置などの整理から始めてみてもいいでしょう。

晴れ晴れとした気持ちで年を送り、新年を迎えたいものですね。

合掌

この記事が掲載されている寺報やすらぎ