夏になると時々ふと思い出してしまうドキッとしたお話が2つあります。
それは私が米国コロラド州のデンバー仏教会に勤めさせていただいてた時のころ。
「コロラドは人間の数よりも牛の数の方が多いんだよね」と言いながら上司のカンヤ先生が笑顔で私に勧めたコロラド名物その名も「ロッキー・マウンテン・オイスター」。
山に囲まれた街なのにオイスターとは如何に?と思いながらも、おそらく牛のなんかであろうと予想をつけ食べてみる。味は淡白でくせもなく、ソースでもケチャップでもいける!
カンヤ先生に「お味はどうですか?」と聞かれ「なかなかいけますよ!」と答える私、それを見て先生の笑顔がさらにニヤニヤと変わったので・・・「これは牛のどの部分ですか?」とたずねると「牛の睾丸ですよ」と言われ噴出すわたし・・・。
後日、先生はコロラドに何十年と住んでいて一度もこれを食べたことがないと聞きこりゃあ一杯食わされたなあと思いました。
趣味がビリヤードの私。ある晩、近場の「タランチュラ」という店でひとり玉突きをしていると見知らぬひとりの若者が、一緒に玉突きしませんか?と笑顔で話しかけてきました。途中、私にビールをおごってくれ、自分はオハイオ州から来たんだと終始機嫌よく楽しむ彼、ふと時計を見ると深夜一時、さすがにそろそろ帰ろうかなと彼の方を振り向いてみると…なんと片手にナイフを持って立っている!そして一言「早く金を出せ!」と何の冗談だろうと思っているとこれが冗談ではなかった涙目でポケットから20ドルを出すとそれを乱暴に取って堂々と入り口から出て行く彼。普段から財布を持ち歩くような真似をしていなかったので被害は20ドルですみましたが店を出るとき背筋に嫌な汗をかきながら裏口から帰らせてもらいました。そして、なぜに誰も助けてくれないんだ?と思い後日そこの掃除夫に尋ねると「あのオハイオ野郎が途中トイレで注射を打ってたのになぜ気づかない?みんな彼がおかしいことに気づいてたぞ。それに、他州から来た知らない人が突然親切にしてくるとか怪しいと思わなきゃ!まあ万が一、本当に彼が刺すつもりだったなら皆止めてたと思うけどね。これも勉強になったと思いなさいよ」とポンと肩を軽くたたかれ、カルチャーショックをうけた出来事でした。
人生行く先々、様々な人に出遇い、色々な体験をさせていただきますが、今思えば、あのとき出遇ったすべての人が良いも悪いも含めて今の私をつくりあげてくださった善知識であったことだなあと思う次第です。
合掌