「やすらぎ」50号発刊にあたり

安楽寺住職 横湯 誓之

慈光照護の下、門信徒の皆様におかれましては日頃より当寺護寺発展の為に並々ならぬご尽力を賜り厚く御礼申し上げます。また、未だ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症の拡大予防に講じながらの日送り、本当に精神的にもお疲れのことと存じます。心より早い収束を願うばかりであります。

さて、今年も寺報「やすらぎ」を門信徒の皆様のお手元へお送りさせて頂きました。今号で大きな節目の50号目を迎えさせていただきました。

平成11年に創刊号を発行し、ここまで足かけ22年が経ち、長いようで、あっという間の22年間でありました。後の頁にこの寺報を始めるきっかけとなったことや、バックナンバー、そしてこの記念号に際し、札幌組組長様からのお祝いの文章を掲載させていただきましたので、じっくりとご覧下さい。

さて、新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威を振るい1年以上が経過し、いまだ不自由な時間を我々は過ごしています。

少し振り返りますと、5月16日から6月20日まで再び北海道に「緊急事態宣言」が発出され、現在(7月1日現在)は7月11日まで、「まん延防止等重点措置」が取られています。ゴールデンウィーク明けから急増した感染者数も、北海道民、札幌市民の努力によっていまは落ち着きを取り戻している状態ではありますが、7月23日に開幕するオリンピック(東京2020)に係るサッカーの予選や8月8日に開催されるマラソン等で、札幌市内の人流が増加し、おそらく感染者数が増加するであろうとの予想がされております。ひじょうに心配ではありますが、政府がそのような方向へ舵を切りましたので、見守るしかありません。くれぐれも感染には十分に気をつけて行動しなければならないと考えています。

それを受け、本来であれば7月下旬からはじめる毎年の「お盆参詣」を中旬に前倒しし、参詣期間を長期にして一日の参詣件数を減少させ、接触回数を減らすということにさせていただきました。門信徒の皆様には既にご案内を送付させていただきました。予定が中々組みにくいとは存じますが、何卒ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。

また、納骨堂への参拝も8月1日より16日まで自由参拝期間とさせていただきます。毎年混み合う12.13.14.15.16日に人流が集中しないように期間を長くして、皆様が分散してご参詣いただくようにお願いをさせていただきました。

12日は例年通り役員総会を開催し、里塚の安楽寺六角堂へ役員総参拝を行います。12日から16日までは、納骨堂にお詣りされる皆様と共に先人をお偲びさせていただき各々読経出来るように僧侶も待機しております。今年も密を避けるために、納骨堂、本堂、安楽精舎の三箇所でお勤めします。

16日の午後1時よりお盆の締めくくりとして命日講に併せて「盂蘭盆会(うらぼんえ)」のお勤めをいたします。大切な方を亡くされてから初めてのお盆をお迎えされるご遺族の皆様には、大切な御法縁となることと思います。感染対策を十分に講じてお勤めいたしますので、是非とも御参詣下さい。尚、今年も新型コロナウイルス感染症拡大予防のために、おとき(昼食)のご接待はありません。

お盆を勤めた後すぐに、当寺の年間最大の仏事であります宗祖親鸞聖人の「報恩講」をお迎えします。今年も規模縮小・時間短縮でお勤めしなければならないと考えておりますが、宗祖のご法要を2年も続けて縮小しなければならないことに無念さを感じております。早い収束を願います。

最後に、このコロナ禍を通してふと気づいたことがありました。それはこちらの本願寺のポスターの言葉です。「つながりの中で生きている 支えあいながら生きている だからこそ他人(ひと)のよろこび 悲しみを分かち合える世界が開かれる」まさにいまこのコロナ禍の状況でなければ気づくことが出来なかった心の持ちようであるなあと、この言葉を眺めてハッといたしました。

普段の日常が当たり前すぎて、このような心持ちになるのは難しかったわけです。実は実は当たり前の日常などではなく、有り難い日常であったと、この言葉から気づかされたことでありました。有ることが難しい日常を早く取り戻したいものです。今後もお互いに感染に気をつけて、ひとり一人がしっかりと出来る事を行う、つながりの中で生かされているというこの身であることをしっかりと自覚するということが、いま最も大切なことではないかとこの言葉を通して気づかされたことでありました。

終息まではまだ時間が必要かと思いますが、浄土真宗の門徒として、少しでも自己中心的な考え方をあらため、つながりの中で生かされているこの命を大切に、よろこび、悲しみを分かち合える人生を歩んで参りましょう。

合 掌

この記事が掲載されている寺報やすらぎ