門徒のたしなみ

平成23年4月より始まります親鸞聖人750回大遠忌法要の記念事業であります、宗祖聖人のご真影様を安置する本願寺御影堂は1636年に創建され170年ほど後に大修復されましたが、その後200年近くとなり今回平成の大修復が10年ぶりに完成致しまして、5月22日より26日まで慶讃法要・祝賀記念行事の一環として「第5回全国門徒推進員のつどい」に参加する機会を得ました。

大修復の様子につきましてNHKテレビがきめ細かく収録し10時間もの放送をしましたのでご覧頂いた方も多くおられたと思いますが、7年ぶりに訪問し大きく変わりましたし、さらにいろいろ工事もまだやっており仮説のブックセンターを訪れ2時間程立ち読みしてこの一冊に出合い帰札後坊守様にお見せした処著者は前住職と龍谷大学同期であることが判り何かの縁を感じました。推薦者に当時報恩講布教使を勤められたやはり動機であります勧学山田行雄師が「真宗門徒待望の書 人生の節目を念仏者としての正しい受け止めと、その行事についての処し方を真宗の教えから正しく指導された門徒必見の著書である」と述べられております。

浄土真宗教団に限らず仏教教団が発刊した冠婚葬祭に関する解説書を見かけません。あっても大方「通夜から年忌供養まで」に止まっています。仏教にとって法要儀式は重要でその内容によって宗派が分かれていると云えるものです。従って各教団において独自の指導書や解説書が発刊されています。それに対し世俗的な習俗については世間任せというか、具体的なものがないのが現状です。この理由として日本で大衆化している習俗は、古代の原始民俗宗教を基盤としているものが多く、その後の展開を通して神の教え神道を形成しています、西暦538年に仏教が入る前に中国の儒教や道教が混淆していたことと仏教もすでに儒教や道教の影響を受けていて、神道が定着している土壌に分け入らねばならなく神仏混淆となり複雑になっています。聖人はこのことを嘆かれた正象未和讃悲歎述懐讃に

  • かなしきかや道俗の 良時・吉日えらばしめ 天神・地祇をあがめつつ 卜占祭祀つとめとす
  • かなしきかなやこのごろの 和国の道俗みなともに 仏教の威儀をもととして 天地の鬼神を尊敬す

とあり、本書を学んで実践するには聖人の真摯な求道による教示を素直に拝受する心構えが必要であるとなっています。

この本の特徴は各家庭に冠婚葬祭の参考書は2~3冊はお持ちされていると思いますが著者は次の4冊を選んで記述に門徒としてふさわしくない一般の習俗を正しく取り上げております。冠婚葬祭入門 塩月弥栄子著 光文社/冠婚葬祭実用大辞典 主婦の友社/冠婚葬祭詩しきたり百科 佐久間進著 永岡書店/婚礼の礼式と心得 吉沢久子監修 三和由生子著 永岡書店

本書は4章211ページからなり、

  • 冠・門徒の自覚
  • 婚・出産から結婚、そして老後まで
  • 葬・臨終から年忌法要まで
  • 祭・元旦から大晦日まで

付記として15頁の解説からなっていまして読後新しい発見がありますのと、納得する事項が多くあります。たとえば他宗教・宗派の儀式に出席した場合、ペットの葬儀、水子供養等に多くの浄土真宗本願寺派(お西)の皆様に理解いただければと思います。書籍の購入は紀伊國屋書店・コーチャンフォー等店頭に在庫がなくても取り寄せていただけます。