できれば避けたい併修……法事の日取り

 お寺に法事を依頼されるご門徒に、最近、二つの目立った傾向が見られます。一つは、日曜祝日を選んで日取りを指定すること。もう一つは、複数の個人の併修(へいしゅう)が多くなったことです。
 日曜が多いのは、仕事が休みで、家族や案内する縁者の都合がつきやすいからでしょうが、それを“当然のこと”とは考えないでほしいです。本来は、やはり祥月命日(しょうつきめいにち・亡くなった月日が同じ日)か、その前日の逮夜に勤めるところを「自分たちの都合で日を変えさせていただいた」という認識が必要でしょう。仏法というのは“世俗の用事がない時に聞く”のではなく、“世俗の用事をさいてでも聞く”べきものだからです。
 法事を勤める心がまえはあくまで「亡き人の命日をご縁として、仏法を聴聞させていただいた」というのが基本です。
 その上で、やむを得ず日を変えなければならない時は、命日からあまり離れない日を選んでください。その際「命日より遅れてはいけない」などとこだわらなくてもけっこうです。
 また、法事の日取りを決めるには、あらかじめご住職の都合を聴いておかなければなりません。ご住職と日時の打ち合わせした後、参拝してもらう方がたに連絡して下さい。
 次に、法事の併修についてですが、これも可能な限り、一人ひとりの法事をしていただきたいものです。
 一周忌、三回忌あたりまではきちんと勤められることが多いのですが、年が経るにつれて併修が増えてくるようです。また、親の年忌に兄弟や子の年忌を併せるのがしばしば見受けられます。これらは、何だかついでに勤めているみたいでいただけません。年忌法要である以上、仏法を聴く中で故人の遺徳を偲ぶわけで、三人も四人もというわけにはいかないでしょう。
 やむを得ず併修するときは、法要の日以外の故人の祥月命日にも、家族でお参りしましょう。

ポイント
◎法事はできる限り祥月命日に近い日に。
◎日取り決定は住職と相談の上。
◎併修ではなく一人ずつの法要を。

(本願寺出版社 仏事のイロハより抜粋)

この記事が掲載されている寺報やすらぎ