「やすらぎ」26号発刊にあたり

 慈光照護の下、門信徒の皆様におかれましてはご清祥にてお過ごしのこと大慶に存じ上げます。又、日頃より当寺護寺発展の為に並々ならぬご尽力を頂いていること、重ねて御礼申し上げます。
 さて、「光陰矢のごとし」といわれるように、早いもので師走の月を迎え、何かとお忙しく日々を過ごされていることと存じますが、今年一年、皆さんそれぞれに自己を振り返るとどんな一年だったでしょうか? 
 ある方は本当に良い一年であったとおっしゃり、またある人は、大切な方との別れがあったり、つらい一年であったとおっしゃりました。本当にそれぞれのそして様々な一年間であったことでしょう。
 先日、京都清水寺で、今年を象徴する漢字が、「変」という字になったと発表されました。今年は、私達の生活が脅かされることとして、原油高騰の煽りを受け、何もかもが値上げを余儀なくされました。また、引き続き食品偽装、賞味期限の改ざん等、「ああ、またか」と思ってしまうような事柄が続きました。本当に「変」(へん)な年であり、相変わらず人間の心が荒んでいるなと思わざるを得ない年でありました。そういう意味では、「変わらない」年でもありました。新しい年には、「変わって行く」ことを願うばかりであります。政治や社会を含め私達の生活の中で、様々な状況で制度疲労、システムの老化が叫ばれています。「変わる」ことは非常に勇気が必要ですが、自己の意識改革も含めて、真剣に考えなければならない年になりそうです。
 浄土真宗の開祖親鸞聖人は、「世の中が安穏なる」ことを願われました。私達が日頃、いかに自己中心的に物事を考え、行動しているか、あらためて振り返って考えてみませんか?それがこれから平成23年にお迎えをする「親鸞聖人750回忌大遠忌法要」の一番大切な意義であると私は頂いております。
 いまだ世界のどこかで止まぬ戦禍、そして地球温暖化、その全てが私達人間の、いのちの軽視、倫理観の欠如によるものと考えてもおかしくない世の中です。どうかこの一年を振り返り、しっかりと自己を含めて反省し、生かされていることへの感謝を忘れず、浄土真宗の生活信条の第四条の如く、「み仏の恵みを喜び、互いに敬い助け合い、社会の為に尽くします」という心を新たにして、輝かしい新年をご一緒にお迎えいたしましょう。