教え tell me – vol.9 年末を迎えて

2013年もまもなく終わりを迎えます。ちょうど今頃、今年はどんな1年だったのかなぁと、ゆっくりと大晦日の紅白や特番を見ながら振り返る人も少なくないのではないかと思います。

さて、年末と言えば私の興味をひくものに「流行語大賞」があります。この1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を賑わせた表現・・・なのですが、今年は「じぇじぇじぇ」「倍返し」「今でしょ」「お・も・て・な・し」と大賞候補がたくさんあり、どれが選ばれても不思議ではないなぁと思っていたところ!

なんと、大賞を取ると予想されてたすべての言葉が選ばれてしまいました。4つも選ばれたのでは・・・それこそ「じぇじぇじぇ!」と言わざるを得ないですね。

冗談はさておき、実はこの4つの中に選ばれて欲しいと思っていたことばがあります。それは予備校の講師、林修さんの「今でしょ!」です。「この問題いつやるの?今でしょ」というフレーズを初めて聞いたとき私はドキッとしました。
 考えてみると、それはいつも面倒なことを先延ばしにしてしまう自分に「あなたそれどうするの?今やりなさいよ!」と問いかけられたような感じがしたのです。

私たちは、今を生きていても、昨日のことを色々と悔やんだり、明日のことを心配したりしながら生きています。昨日には二度と戻れず、明日が本当にやってくるのか分からない中で、昨日も明日もあって当然のことのように考えて行動して生きています。

しかし、「今」という言葉、これは自分の人生をどこか他人事のように感じている時に、その夢、まぼろしの状態からから目覚めさせてくれる大切な言葉であると感じます。

実を言うと「今でしょ!」という言葉から、私が連想したのが「今現在説法」という言葉で、まさしく阿弥陀如来の今現に在(ましま)して法を説いてくださっているお相です。

「今現在説法」という意味。それは難しいことではなく、ただ「ナンマンダブ」と称えた時、私たちがそれをどう感じるか?ということではないだろうかと思います。それは、 ご本尊の前に座ってナンマンダブと声に出したら、阿弥陀さまから、「お前それでいいのか?」という喚び声だと思うんです。「お前それでいいのか?」と阿弥陀さまに問われ、それに応えたとき、気持ちが楽になり、そうなのかあと感じる瞬間があるんです。

「今現在説法」とお釈迦さまがおっしゃられたとき、まさしくその場にいたお弟子さんたちも同じ感動を受けていたことを想像すると、本当に今にお念仏のはたらきが残っているのだなあと感嘆するばかりです。お念仏をいつ称えるの?今でしょ!

この記事が掲載されている寺報やすらぎ