教え tell me – vol.16 猛暑を迎えて

気がつけば今年も半年が終わり、あっという間に残り半分を切ることになりましたが、皆様には、いかがお過ごしでしょうか?札幌では125年ぶりの暑さが訪れ、なんということか夏の来ない北海道に夏が来てるのを肌で実感しているところです。私の実家九州も雨による被害が続き、特に九州北部では記録的な豪雨に見舞われた方が多くおられたかと思います。被害に遭われた皆様方へ心よりお見舞い申し上げます。

さて、私が九州にいた子どもの頃の話です。九州では必ずといっていいほど毎年台風や大雨が押し寄せてきますが、そのたんびに雨戸を閉め、さらに戸板を釘で打ちつけていた父の姿をよく覚えております。そこまでする必要があるの?と父に尋ねると、風で吹き飛ばされた屋根瓦が窓ガラスを突き破って入ってくるのを防ぐためだ!と言われ【風で屋根瓦が吹き飛ぶ?そんな馬鹿な!】と子どもの頃は思っていましたが、翌日かならず寺の屋根瓦が何枚か吹き飛んでいたのが現実です。一方で学校が休みになった夜、兄弟4人で停電の中ローソクつけてトランプで遊ぶことができたのも懐かしい思い出です。

また高校生頃の夏、鹿児島のバス停でバスを待っていたら、道の向こうから全然知らないおじさんがやってきて、
「大雨洪水警報でちょったやろが!バスは来んどぉ~歩いて帰れ~」と言われたときなど、【このおじさん何を言ってるんだ?大雨ぐらいでバスが来ないわけが…】と思っていたら、本当にバスは来ず、来ないどころかあれよあれよという間に水かさが増してきて、くるぶしから膝、さらに膝上まで水が来たときには後悔しても遅く、涙目でいのちからがら近所の知らない家に避難した経験が今でも鮮明に残っています。

最近では、テレビで大雨の時に車が水没した映像などを見た人が【こんな大雨の時に車で出かけなきゃ良かったのに…】と思うのが素人考えで、ところがどっこい当事者だってそんなことは百も承知していたつもりなのに、人間が思っている以上のスピードで川の水があふれてくるという経験が無い人だとそうなってしまうのです。

このような話をされた後に、北海道は台風が来ないから良いよね!なんてことを言われたことがありますが、以前の私ならともかく今の私は、【北海道は冬が醍醐味だからさ、一度北海道の一軒家で一冬過ごしてごらんよ。大汗かくから!】と言い返せるようになったのも、私がだいぶ「どさんこ」に近づいた証拠ではなかろうかと思う今日この頃です。

合 掌

この記事が掲載されている寺報やすらぎ