教え tell me – vol.11 年末を迎えて

月日の経つのは早いもので、2014年も残すところあとわずか、年末年始の過ごし方をどうしようかと決めている方も多いことでしょう。

さて、年末といえばひとつにはクリスマスがあります。お寺で育った私は、クリスマスを日本でお祝いしたことは一度もありません。とは言っても興味がなかったわけではなく、世間一般でいうクリスマスをみんなどのように過ごしているのだろう?と長年考えていたものです。その答えを教えてくれたのが、米国の開教使として勤務していた経験でした。

まずはじめに驚いたのは、米国で12月25日は、ナショナルホリデー(国民の祝日)と呼ばれており、明日は仕事は休みだよ、だからお寺に来なくてもいいよ!と上司の先生に言われたことです。もちろん私に予定など何もありません。

そして次に驚いたのは、何の予定もなかった私がその日に教会を訪れても、すんなり受け入れてくれたことです。(もちろん堂々とお坊さんですと名乗って)神父さまの話では、神はどのような人でも閉ざす門は持ちません、と教えてくれました。

私が訪れた教会では、子ども達によるキリスト誕生の劇(クリスマスページェントと呼ばれています)があったり、ベル演奏があったり、クリスマスの歌を歌ったりしました。ミサの様子もとても静粛に行われ、生まれて初めて【これが本物のクリスマスか】と肌で感じたものです。

日本のクリスマスは宗教的な意味合いが殆ど無く、恋人同士で過ごすことが多いのではないかと思います。逆にアメリカではクリスマスは家族で過ごすものです。クリスマスになると家族親戚が皆集まり、イブの夜は、皆でごちそうを食べ、少し着飾って教会に出かけるという文化が根付いているそうです。日本のお正月のように、家族が皆集まり、ゆっくりと家族の時間を楽しむのです。

家族が皆集まり、プレゼントを贈り合い、一緒に食事をして教会へ行く。それは、とてもあたたかいひとときでもあります。日本でのクリスマスは宗教的意味合いはあまり無く、クリスマスと言えば、パーティー、恋人とデート、というイメージではありませんか?

さて、今回はクリスマスの話でしたが、お釈迦さまのお生まれになった日も、いつの日かクリスマスと同じくらい大きなイベントになってほしいなあ、と念じて年末最後の言葉にかえさせていただきます。

合 掌

この記事が掲載されている寺報やすらぎ