2020年もまもなく終わりを迎えますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今年は新型コロナウイルスが世界的に流行したことで、感染防止のためできるだけ自宅にいるよう外出を自粛した人が多くおられたことと思います。また不要不急の外出を少しでも控えようと意識した人が増えたことで、多くの業種関係者が経済的な打撃を受けたという話もたびたび聞こえてきます。
 さて、この不況の中その影響を全く受けなかったものを皆さんはご存じでしょうか?それは「鬼滅の刃」という漫画です。累計発行部数1憶2000万部を突破し、映画の興行収入も45日間で275憶円を突破(歴代2位)関連グッズを出せば飛ぶように売れ、経済効果も2700憶円を超える・・・とこのように読んだことのない人でも社会現象を巻き起こしているという認識はあるかと思います。たかが子供が読む漫画じゃないか、何を大げさに騒いでいるんだ?とお思いの方もおられるでしょう。ただこの短期間にここまでの経済効果が出ているということは、子供だけでなく多くの幅広い年齢層から支持されるだけの感動できる何かがあるのでは?と思い少しだけ紹介させていただきます。
【鬼滅の刃】大正時代の人食い鬼の棲む世界が舞台。炭売りの少年・炭次郎(たんじろう)は人食い鬼に家族を惨殺されたことで生活が一変し、唯一生き残った妹の禰豆子(ねづこ)も鬼に襲われたことで鬼になってしまう、炭次郎は妹の禰豆子を人間に戻すため、家族を殺した鬼を討つために旅にでるという物語。
一般的に鬼といえば見た目も恐ろしく人を襲うから問答無用で退治されるもの!と相場が決まっているのですが、この漫画に出てくる鬼たちは少し違います。それは鬼になる以前はみんな人間であり、貧しい生活環境や病気などやむにやまれぬ事情から人を傷つけたり、物を盗んだりした人間が鬼に堕ちてしまうところです。しかも鬼になった時には人間の頃の記憶が失われており悪行のかぎりを尽くすのですが、退治される死の間際に走馬灯のように記憶が戻り、自身が犯した罪の深さに激しく懺悔した後、すでに亡き自分の家族に出遭い許されていくという描かれ方をしています。鬼になった事情を知った炭次郎は自身も苦しい立場であるのに、鬼に同情してしまう心優しい性格から度々ピンチに陥るのですが、決してすべてを憎むようなことはせず、むしろ戦いながら周りの人や鬼を救っていこうとしていく姿に深い感動を覚えるほどです。
 どのような事情があれ、鬼になり悪行三昧を続けてきたその行為を懺悔したことで許す、という描写が私たちの多くに受け入れられたのには、私たちも縁にふれればどのような恐ろしい事でも平気でやってのける鬼になってしまいかねないことに心のどこかで気づいているからではないでしょうか。
 この世は決して思い通りにならない、鬼になる日もあれば、剣士になる日もある。けれどもその苦しみや悲しみの中にも救われていく道があるんだよ、と【鬼滅の刃】が教えてくれたからこそ、これだけ多くの人が感動を覚えたのではないでしょうか。
 大変な2020年でした。来る年はどうか良い年であることを念じつつ23回目の「教えTellme」とさせていただきます。                  合 掌