ふじおかゆうやのガバイはなし vol.10 「がばいお世話になりました」

安楽寺法務員 藤岡融也

 みなさんこんにちは。今年の冬は寒くなったり、暖かくなったりと、落ち着かない冬だと思っていましたが、やはり寒くなりましたね。今年は夏が暑すぎたので冬は絶対に「寒い」とは言わないぞと固く誓っていましたが「寒すぎる!」と毎日連呼しております、どうも藤岡です。月日が経つのは速いもので、僕が安楽寺にきてから5年という時間が過ぎようとしています。
 私事ですがこの度、永らくお付き合いをさせていただいておりました方とご縁が相調いまして、結婚をさせていただく運びとなりました。これも偏に支えてくださった住職をはじめ、門信徒の皆様のおかげです。この場をお借りして篤く御礼申し上げます。よって来年の春をもちまして、安楽寺での法務を終えさせていただきます。
 振り返れば安楽寺につとめ始めたのは2019年の3月16日のことです。今でも昨日のように思い出します。新千歳空港から新さっぽろ駅に向かう電車の車窓からはまだまだたくさんの雪が残っているのが見えました。佐賀からきた身としてはついに北海道に来てしまった、という実感がわいてきました。
 新さっぽろ駅についた時のことです。どうせなら歩いて行こうと思い、雪が降っているにも関わらず、冬靴もはかずにスーツケースをひきずりながら歩いて安楽寺に向かいました。周りに歩いている人はいるものの、防寒具や冬靴で歩いていました。対する僕はというと、コートにスーツ、革靴、おまけにスーツケースを引きずりながら歩いていたので靴は雪で濡れるし、スーツケースにはタイヤが着いていましたが、雪が積もっていたので引きずるというより、引っ張って歩いていきました。これが「試される大地か」と思いながらも何とかお寺にたどりついた時の安心感はいまだに忘れることができません。その時に初めてみなさんの前で自己紹介をさせていただいきましたが、期待と不安で胸がいっぱいだった僕を暖かく迎え入れてくれました。そこから約5年の間、微力ながら法務のお手伝いをさせていただきました。
 住職には僧侶としての自覚や基本的な所作、これからのお寺のあり方など、丁寧に、事細かに教えていただきました。親鸞聖人にとっての師匠が法然聖人なら、私にとっての師匠は安楽寺住職になります。「信は荘厳より生ず」と言う言葉は住職に教えてもらいました。今までは荘厳は見る側でしたが、荘厳をお飾りする側に回るとまた違った景色が見えてきます。正直に言ってここまでやる必要はあるのかと思った事はありますが、完成した荘厳をみると頑張った甲斐があったと感じます。このやり遂げたあとの気持ちは何物にも代えがたいものですし、それを教えてくれたのは住職でした。
 先輩の暉峻さんにも大変お世話になりました。聞いてもいないのに教えてくれたり、誰も聞いてもいないのに最後まで喋り続けるこの根性の図太さ、これは本当に学ぶべき点が大きかったです。あえて失敗をすることにより、同じ失敗をさせないようにする、まさに俺の屍を越えていけと言わんばかりの優しさにはいつも助けていただきました。この他にもたくさんの方に様々なことを教えていただきました。その全てを列挙することはしませんが、そのお陰で今の僕があるのです。
 酸いも甘いもたくさんの事を学び、経験し、それと同じぐらい失敗も重ねてきました。コロナのせいもあり、上手くいかない事も多々ありましたが、その度にたくさんの方に支えてもらいながらなんとか過ごしてきました。5年前の自分と比べて少しは僧侶として成長できたかどうは分かりませんが、間違いなくこれからの人生にとって大きな糧となることと思います。
 寺報「やすらぎ」に寄稿させていただいております「がばいはなし」は今号で最終回となります。2019年より10回にわたってみなさんにお届けしてまいりました。果たしてみなさんに「がばい!」と思わせることができたかは分かりませんが、僕にとって北海道で出遇ったこと、経験し学んだこと全てが「がばい!」なのです。今まで本当に有難うございました。 合掌


 五年間お勤めいただきました法務員の藤岡君が明年の3月を以て退職されます。3月の春季彼岸永代読経会法要が最後となります。ご門徒の皆様には大変可愛がっていただき、また、僧侶としての学びのご縁をたくさん賜りましたこと、篤くお礼申し上げます。きっと山口県でも頑張ってくれることと思います。春のお彼岸が最後となりますので、是非とも激励の言葉を掛けにおまいりください。長い間お世話になりました。有難うございました。 住職

初めてのご挨拶から早5年!

初めての大きな法要が春のお彼岸でした!

初めての氷割り!楽しんでましたね!

5年間で随分とたくましくなりました!

この記事が掲載されている寺報やすらぎ