宗祖親鸞聖人報恩講 ③大逮夜法要(院内勤め) 平成30年9月6日

9月6日 大逮夜法要(院内勤め)

 準備を終え床についてまもなく、午前3時6分に大変大きな地震が発生しました。後に「胆振東部地震」と名付けられました。
 私は京都での学業の際に「阪神淡路大震災」を経験しましたが、その時以来の大変大きな地震でした。とにかく揺れが収まるまで妻と娘を布団で覆い、その後ガスや火の元を確認して、すぐに本堂に向かいました。本堂に向かう間、おそらくメチャクチャになっている様を想像しながら、移動が大変長く感じたのを今でも覚えています。本堂にはすでに布教使さんが駆け付けてくれていて、その後、宿泊していた会係の久保田さんや仲間が一緒に現場の確認をしてくれました。
 とにかく現状を残していたほうが良いと誰かが言ってくれ、呆然としてられないと思い、携帯電話のカメラで撮影をしました。

無残にも散乱するお供物

粉々になったお供物台

蝋燭立も無残なことに

婦人会が作ってくれたクルミもこの有様です

香炉も至る所で転がっていました

物置の中もメチャメチャでした

お焼香台が襖のお陰で傷つくのを免れています

 

目に入る中で一番ひどかったのが2階入口の壁です。地震の力に耐えきれなかったのか破裂したようになっておりました。

その後余震が続きどんどんヒビが広がっております ALC板の交換になるようです。

西日本豪雨水害復興支援物産展の幕もこのありさまでした 物産展も中止となりました

 助かったのが平成十七年に大修復を行っていただいた本堂内陣については、甚大な被害はありませんでした。ただ残念だったのが漆の床に重い蝋燭立てが落下して傷が残ったことと、左の写真のように少しだけ金箔を貼った柱と壁に隙間が出来てしまったことです。

 本堂は鉄筋コンクリートですが、築四十三年経ちますので、いたるところにヒビが入ってしまいました。

仏様(法中控室)も落下し手がもげてしまいました
後光も台座も破損してしまいました

納骨堂は扉が開いている壇があり、何基かの納骨壇から香炉が落下している程度でした
しかし後日点検すると増築した部分の壁に上から下までヒビが入っておりました これも早く修繕しなければなりません

庫裡では他にクロスの破れが多数有りました。揺れの大きさが容易に分かりますね

外へ出てみると壁という壁にヒビが入っておりました。
よく見ると建物の角や増築した部分特に接合部にかなり多くのクラックを見つけることが出来ました。やはり相当な揺れだったのでしょうね。

他にも隣家との境のブロック塀が持ち上がったりアスファルトに長いヒビが入っていました。

外塀にも多数ヒビが入っておりました。これも以前修復していただいた時に増築した部分に多くみられました。

 現在、大岡産業さんはじめ関係業者さんに見積もりをご提出いただき、幸い地震保険に加入していたので、結果待ちの状態です。ただ皆様もご存じの通 り地震保険の性質上、重度の被害が無い限り、保障の対象にならない箇所が沢山あるようです。結果が出次第、総代会にて優先順位を決め、修復工事をさせていただきます。多くのお見舞いもお預かりしております。この場をお借りし御礼申し上げます。


 被害の確認をしている間に停電となってしまい、とにかく情報を得るためにラジオをつけたり、出来る事はないかということで、断水になると困りますので湯船に水を溜めたり、空いているペットボトルに水を注ぎ、あたりを照らす灯りを集めたりしておりました。
 外へ出るとあたりは真っ暗闇。どんだけ明るい生活してたんだろうかと途方に暮れてしまいました。朝7時前に総代長の山根さんにご連絡し、午前10時までに電気が復旧しなければ法要は中止とすることを決定し、まず総代さんにお寺に集まってくれるようお願い致しました。
 しばらくすると良いにおいがお寺の中に立ちこめ、見に行くと婦人会の皆さんが朝ご飯を作ってくれているじゃないですか!
 なんと有り難いことか!と目頭を押さえつつご挨拶と安否確認をしました。「いや~こわかったねー」、「この世の終わりかと思った」など皆さんと地震の際の状況を確認して、「今食べておかないと、もうまともなもの食べられないかもよ!」というお言葉を頂き、食欲がないなあと思っておりましたが、気を取り直して、美味しく頂戴致しました。有難うございます!
 午前中に平岸大乗寺の住職さん(打本さん)が駆け付けてくれました。自分の所も大変だったろうに・・・。有り難いことです。
 布教使の和氣先生もTシャツ姿でいろいろお手伝いくださり本当に申し訳なかったです。
 ご門徒さんも心配して一人また一人と駆け付けてくださいました。総代さんが揃ったところで、様々な検討をして、冷蔵庫に電気がきていないことから、食材がダメになる前に調理をしてお詣りに来られた皆さんと昼食をいただく、お寺に現在いる僧侶と門徒で「大逮夜法要」を本堂はメチャメチャで使用できないことから1階のホールでお勤めし、ご法話を一席のみいただく、夜までに電気が回復しなければ今年の報恩講はこれで中止とすることを決定させていただきました。

朝早くから駆け付けて下さり 電気の使い中おときの準備をしてくださいました!凄いはうちの婦人会は!

信号機が消え、交通麻痺を起こしているにもかかわらず、心配して駆け付けてくれた大乗寺住職さん 有難うございます!

暗闇の中で「緊急総代会」を開催し今後の対応策を話し合いました。

「もう笑うしかないですね」と冗談を言ってみんなを励ましてくれた布教使の和氣先生。感謝です!

 婦人会の皆さん、暗闇の中配膳し、時折「蝋燭の光で厳かでいいわ~」な~んて冗談を言いながら準備をしてくださいました

法要の取り仕切り役である会奉行の岡先生(豊滝 清勝寺住職様)遠い上に交通麻痺の中駆け付けてくださり、法要を執行してくださいました

受付を入口付近に設置しました エアコンがつかえないことから「暑い、暑い」と言いながらも受付業務を行ってくださいました

急遽1階ホールで「大逮夜法要」をお勤め致しました 本当に蝋燭の光が厳かでした

法要後、状況説明を兼ね御挨拶させていただきました さすがに髪の毛をセットする余裕も時間もありませんでした 笑

 

 

布教使様もさすがにこんな状況でご法話されることも今までなかなかなかったことと思います。大変なおとりつぎをいただきました。有難うございます。本当に感謝です。

 なんとか院内で「大逮夜法要」をお勤めし、ご法話もいただくことが出来て、「ホッ」といたしました。
 総代さんと夜までに電気が回復しなければ、この度はこれで報恩講を中止すると決定はしたものの、「これでいいんだろうか?」「災害で報恩講を中止するのは自分の代がはじめてではないだろうか?」「本当に中止で良いのだろうか?」といろんな思いで頭の中がグチャグチャになってました・・・。
 夕方になり、だんだんと日が落ちてきて、夜ご飯にとカップラーメンなどを食卓に広げていたときに、「パパパッ」と電気がついたじゃないですか!
 みんな「オーッ!」という歓声を上げ、女性陣は拍手拍手拍手!母親は「電気ってこんなに有り難いんだね!ナンマンダブ・・・ナンマンダブ」と涙を流して喜んでおりました。
 「やるぞー!」という私の声で、一斉に掃除道具を持って、本堂に移動し、メチャメチャになった内陣を掃除し、壊れたものは撤去、荘厳はやり直して、なんとかお詣りをする形を整え直しました。
 総代長と連絡を取り、朝のお詣りは、門徒の皆さんも大変な事態であることから中止し、午前11時のご満座と院号伝達式、ご法話を一席いただくことを確認し、そこからは電話やメールで諸々ご連絡をさせていただきました。

 本当に大変な一日でした。今振り返るとこの一日が一週間のように思えます。
でもなんとか最後のお勤めが出来そうで、心から「ホッ」として床につけました。

この記事が掲載されている寺報やすらぎ